3児パパの記録

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【書評】藤原てい「流れる星は生きている」:極限状態に置かれた日本人と、親の気持ちを考えさせられた。

藤原ていさんの「流れる星は生きている」。読後の放心感がすごかったです。満州から日本への引き揚げを描いた物語、いや、ノンフィクションでした。Amazonの内容紹介を以下引用します。

昭和二十年八月九日、ソ連参戦の夜、満州新京の観象台官舎——。夫と引き裂かれた妻と愛児三人の、言語に絶する脱出行がここから始まった。敗戦下の悲運に耐えて生き抜いた一人の女性の、苦難と愛情の厳粛な記録。戦後空前の大ベストセラーとなり、夫・新田次郎氏に作家として立つことを決心させた、壮絶なノンフィクション。 

日本人は礼儀正しいとか、思いやりがある民族だとか、良い面を言われることが多いような気がしています。だから海外とのちょっとした軋轢に敏感で「どこぞの国は日本と違って〜だから嫌いだ」といった感情の報道や記事をよく見かけます。しかし本書は違います。極限状態に置かれた日本人はどうなるのか。他者なんてどうでもいい、なんとかして子供を生かしたい、生存させたい。作者のみならず、皆が皆、気持ちは同じ。他者なんてかまっていられない。無我夢中で、生きるのだと。

強烈な、メッセージを受け取った感じがしました。私も親であり、このような心境になれるのか。鬼となって、我が子を生かせるのか。重たいです。でも、読んで良かった。究極の母親の考えを共有できた気がしました。