3児パパの記録

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【書評】原田マハ「異邦人」:美の世界で盛者必衰の理を想う

美しいものに対する審美眼を持つ人がうらやましい。

視覚に訴える美の世界で生きる人たちの話。美意識と人間の醜さといった2面性を考えさせられる小説でした。以下内容をamazonから引用します。

「美」は魔物―。たかむら画廊の青年専務・篁一輝と結婚した有吉美術館の副館長・菜穂は、出産を控えて東京を離れ、京都に長逗留していた。妊婦としての生活に鬱々とする菜穂だったが、気分転換に出かけた老舗画廊で、一枚の絵に心を奪われる。強い磁力を放つその絵の作者は、まだ無名の若き女性画家だったのだが…。彼女の才能と「美」に翻弄される人々の隆盛と凋落を艶やかに描く、著者新境地の衝撃作。

京都という日本を代表する街で、美しいものを愛でる。幸せなことだと思います。でも不思議なもので、愛でるからこそ卑しくなるのも人間であって、人間の心を掴む絵画を作るのも人間であったりする。話がぐるぐる回ってしまいますが、複雑さが人間らしさだったりするのかなと思います。

私自身は滅多に美術館などには足を運ばないのですが、この小説を見て、美術館へ行きたくなりました。京都にも行きたい。審美眼は無いですが、魅せられてしまう入口くらいには立ってみたいです。