3児パパの記録

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【書評】松岡圭祐「ヒトラーの試写室」:妻子を想う気持ちは今も昔も変わらず。

松岡圭祐と言われると、私は「いやあ万能鑑定士Qだっけかな」「表紙がライトノベルっぽいものが多いなあ」といった印象がありました。「ヒトラーの試写室」はその印象を覆します。amazonでの内容紹介を以下引用します。 

1937年、22歳の柴田彰は円谷英二の下で日独合作映画『新しき土』の特殊撮影を担当し見事に完成させた。その技術に目をつけたのがナチス宣伝大臣ゲッベルス。映画による人心の掌握と統制を進める彼は、柴田をベルリンに招聘し、タイタニック号の沈没シーン制作を命じる。環境の違いから撮影は苦戦。妻子を想う柴田だったが、ベルリンは戦火に…。意外すぎる歴史秘話に基づく、一気読みと感動必至の傑作エンタメ小説。 

 正に一気読みしてしまった小説です。主人公が「特撮」の技術を持った経緯、その後腕を買われて戦争中のドイツへ招聘されて、ドイツ高官の指示で特撮技術を用いて人々の統制を図るための映画を撮影し、さてどうなったか、といった話です。私がメモしていたことは次の通りです。

  1. 当時の「特撮」は人々の度肝を抜いでいた。「できないこと、有り得ないことが、まるで本物のように目の前で起きている」ことが、印象操作や民衆扇動のひとつのツールだった。
  2. 戦争があっても、技術はなんとか繋がれた。
  3. 時代が違っても、家族を想う気持ちは、現代と変わらない。

 面白かったです。松岡圭祐ってこんな作品を書くのねと、再認識しました。早速別の本を読んでみるかと画策中です。